皮の利用の歴史

皮の利用は200万年前の旧石器時代から

⼈類と⽪の歴史は、約200万年前の旧⽯器時代からとも⾔われています。
⼈類は動物の⾁を⾷べるために狩猟を始め、それで得た⽪や⽑⽪を履物、
⾐服、敷物、袋物や⽔筒などに利⽤してきました。

旧⽯器時代の⽪⾰製品は現存しませんが、⽯器や⾻⾓器を使った痕跡から、⽪の処理が⾏われていたことがわかります。

⽪はそのまま置いておくと、腐ってしまいます。また、乾燥しただけでは固くて使い物になりません。鞣なめす必要があります。そこで、⾊々な⽅法が考えられてきました。

まず、当初の鞣しは、固くなった⽪をもみほぐしたり、叩いたりして柔らかくすることから始まったと考えられます。

植物タンニンなめしにたどり着く道のり

初期の鞣しは、脳髄、⾻髄などの脂肪質や植物油などによる油鞣しがあり、燻煙くんえんによる鞣しなども⾏われてきました。その後、植物の汁に漬け込む⽅法も⾏われるようになりました。これは、植物による染⾊を⾏なった際、偶然に鞣し効果もあることがわかり、使⽤されるようになったのでしょう。

古代エジプト前王朝時代、鞣し場跡の発掘調査で⽪⾰製履物やアカシア属の⾖果(植物タンニン)が発⾒されています。沼地や泥炭地では⽪が腐らなかったことや、エジプト王の墓からミョウバンを含有する⾰も発⾒されていることから、ミョウバン鞣しも早くから⾏われていたと考えられます。

その後、植物の樹⽪からタンニンエキスを取り出す⽅法が開発され、植物タンニン鞣しが主に⾏われるようになった。

量産可能、優れた特性を持つクロム鞣し

19世紀後半になって、鞣剤なめしざいとして⾦属元素のクロムが発⾒され、現在では最も多く利⽤されています。クロム鞣しは作業時間が短く、経済性に優れることから、⾰の量産が可能。柔らかく、保存性、耐熱性、染⾊性が良いため、靴やバッグ類、⾐料など広く⽤いられています。

今⽇、⾷⾁産業から出る動物の⽪は鞣すことで⾰となり、鞣し⽅法によって様々な特性を持つ⾰になって⾏きます。
⾰は副産物を利⽤した代表的なアップサイクル製品と⾔えます。