「革」・「レザー」の用語がJISで制定されました

2024年3月より、「革」「レザー」と呼べる製品は、
“動物由来のもの”に限定されました

昨今、植物由来、石油由来の素材などが「○○革」「○○レザー」という名で商品化されたり、呼称されることにより、消費者が靴・バッグ・鞄・財布・ベルト・アパレルなど革(レザー)製品と誤認して購入してしまうケースが発生しています。
すでにイタリア・フランス・スペイン・ドイツ・ブラジル・ポルトガルなど諸外国では 「革(レザー)は動物由来のものに限定する」と法律によって定められています。
そのような背景の中、日本でもこの度、ISO 規格の用語 “Leather(レザー、革)”を基にした JIS が制定され、“「革」「レザー」と呼べる製品は、動物由来のものに限定する”と規定されました。

例えば、

❶ アップル・キノコ・サボテンなどから作られた素材を「○○革」「○○レザー」とは呼べなくなり、商品名などに使用することもできません。

❷ 「シンセティックレザー」「フェイクレザー」「PUレザー」「ビニールレザー」などと呼ぶことや、JIS で規定した以外の商品の名称に「レザー」「革」「スエード(スウエード)」「ベロア」「ヌバック」を用いることもできなくなりました。

❸ 革を細かく粉砕し、シート状に加工した素材を「ボンデッドレザー」「リサイクルレザー」「再生革」などと表記することも誤りとなり、「皮革繊維再生複合材」と呼ぶ必要があります(「ボンデッドレザー ファイバー」「レザーファイバー・ボード」とも呼ぶこともできます)。

❹ 不織布や特殊不織布、合成樹脂などを使って革のように似せたものは、「合成皮革」「人工皮革」と表記しなければいけません。
その他、エコレザーについても、「環境に配慮して製造される革・レザー」であると規定されました。例えば、植物由来の素材や、革を細かく粉砕し、シート状に加工した素材などを「エコレザー」と呼ぶこと はできません。

■JIS/日本産業規格とは
Japanese Industrial Standards の略で、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格です。
JISについての詳しい内容は本資料の最後【資料:革(レザー)に関するJIS主要項目】をご覧ください。
上記の詳細および、誤解を生みやすい「床革」「エナメル革」「ラミネートレザー」「コートレザー」「銀付き革」「銀すり革」についても記載しています。
また、全ての項目をご覧になりたい方は、一般財団法人日本規格協会で販売しておりますので購入できます。
なお、質問などのお問い合わせについては、一般社団法人日本皮革産業連合会のJIS担当にお問い合わせください。

一般社団法人 日本皮革産業連合会
東京都台東区駒形1-12-13 皮革健保会館7階
電話:03-3847-1451
Email: tla@jlia.or.jp
JIS担当
※一般社団法人 日本皮革産業連合会とは…皮革および靴・バッグなど革製品の生産・流通・貿易に関する 24 団体で構成されています

 

【資料:革(レザー)に関するJIS主要項目】
JIS K 6541:2024 革(レザー)―用語 Leather―Vocabulary より抜粋

3.1 革(レザー)素材の基本用語

3.1.1 革、レザー
皮本来の繊維構造をほぼ保ち,腐敗しないようになめした動物の皮
※注釈1 毛は除去したものも、残っているものもある。
※注釈2 仕上げ塗装、または表面層を付与したものは、仕上げ塗装,または表面層の厚さが 0.15mm 以下のものを 革(レザー)という。
※注釈3 革(レザー)を機械的、または化学的に繊維状、小片又は粉末状に粉砕し、樹脂などの使用の有無に かかわらず、シート状などに加工したものは革(レザー)とはいわない。
※注釈4 “天然皮革”または“本革”ともいう。“皮革”という用語も使用されるが,“皮革”は“皮”及び“革(レザー)”を 総称する用語である。
※注釈5 “革(レザー)”及び“皮革”という用語の使用は、ここで定義されたものだけに使用してもよい。この規格に規定されたものを除き、人工的な材料の名称として使用してはならない。

3.1.2 スプリットレザー、床革
なめし前後に複数の層に分割する場合があるが、表面(銀面)層がない下層部分を腐敗しないようになめした皮
※注釈1 動物の名前、または革の部位が説明に含まれている場合、例えば、“豚床革(pig split leather)”、または“豚スプリットレザー”のような用語として使用されることがある。

3.1.11 エコレザー
皮革製造におけるライフサイクルにおいて、環境配慮のため、排水・廃棄物処理などが 法令に遵守していることが確認され、消費者及び環境に有害な化学物質などにも配慮されている革(レザー)

3.4 仕上げ後の素材に関する用語

3.4.1 フルグレインレザー、銀付き革
銀面層を完全に保持している革(レザー)

3.4.5 ヌバック
銀面をサンドペーパーなどで短く毛羽立たせた革(レザー)

3.4.6 スエード
革(レザー)の裏面(肉面)、または床革の使用面をサンドペーパー、または類似の機械的処理によって毛羽を短くそろえた革(レザー)
※注釈1 毛羽の長いものを“ベロア(velour)”という。

3.4.8 銀す(磨)り革
銀面をごく薄くサンドペーパーによる処理又はこれと類似の機械的処理によって除去した革(レザー)
※注釈1 仕上げを行った革(レザー)の代表的なものに“ガラス張り革(レザー)”がある。

3.4.10 エナメルレザー、エナメル革
表面にワニス,ポリウレタンなどのエナメルを、革(レザー)全体の厚さの3分の1 を超えない範囲で付与したもので,表面が高い光沢を持ち、鏡面効果がある革(レザー)
※注釈1 “パテントレザー”ともいう。
※注釈2 床革にエナメル仕上げをしたものは、“パテントスプリットレザー”または“エナメル床革(patent split leather)” という。

3.4.11 ラミネートレザー、ラミネート革
表面に高分子フィルムなどを,革全体の厚さの 3 分の1を超えない範囲で付与した革(レザー)
※注釈1 高分子フィルムなどの付与は、ロールアイロン、ハイドリックプレスなどを使用する。

3.4.12 コートレザー
表面に仕上げ塗装、合成樹脂などで表面層を付与したもので,仕上げ塗装または表面層の厚さが 0.15mm を超えるが、塗装又は表面層を含む素材の厚さの 3 分の 1 を超えない革(レザー)
※注釈1 床革に仕上げ塗装,合成樹脂などで表面層を付与したものは“コートスプリットレザー(coated split leather)” という。

3.5 革(レザー)を粉砕などして再利用した素材に関する用語

3.5.1 皮革繊維再生複合材
革(レザー)を機械的または化学的に繊維状、小片または粉末状に粉砕したものを, 乾燥質量で50%以上配合し、樹脂などの使用の有無にかかわらず、シート状などに加工したもの
※注釈1 革(レザー)繊維、結合材または革(レザー)製造用の助剤以外に他の成分がある場合は、それらの成分を表示する。
※注釈2 “レザーファイバボード”または“ボンデッドレザーファイバ”ともいう。“再生革”または“リサイクルレザー”という 用語は正しくない。
※注釈3 貿易で使われている HS コードにおいては、“コンポジションレザー(composition leather)”という用語が使用されているが、用語としては正しくない。
※注釈 4 表面にポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタンなどの合成樹脂面を配して、革(レザー)の外観に類似させたものもある。

3.6 革(レザー)を模倣した素材に関する用語

3.6.1 合成皮革
基材に織布,編物,不織布などを用いて、表面にポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタンなどの合成樹脂面を配して、革(レザー)の外観に類似させ、その特性である感触,光沢,柔軟性などを与えたもの

3.6.2 人工皮革
基材に特殊不織布を用いて、表面にポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタンなどの 合成樹脂面を配して、革(レザー)の外観に類似させ、その特性である感触・光沢・柔軟性などを与え、銀付き革調に加工または特殊不織布に立毛を配してスエード調、ベロア調、ヌバック調に加工したもの
※注釈1 特殊不織布とは、ランダム三次元立体構造を持つ繊維層を主とし、ポリウレタンマヤはこれに類する可とう性を持つ高分子物質を含浸させたものをいう。
※注釈2 特殊不織布には、ランダム三次元立体構造を持つ繊維層に織布又は編物を組み合わせ、ポリウレタンまたはそれに類する可とう性を持つ高分子部室を含侵させたものも含む。